2005.01.30 Sunday
その男、トレイ・ヒルマン |
このところBlogで文句ばかり言っているせいか、心がささくれ立ってくるような気がいたします。そこで今回は去年の出来事から、わたくしがおとこまえだと感銘を受けた方を取り上げてみたく存じます。
その人の名はトレイ・ヒルマン。北海道日本ハムファイターズの監督です。残念ながら日本男児ではございませんが、後でも述べますように彼は本物の紳士です。 2004年10月3日、パ・リーグのリーグ優勝を争うプレーオフ第1ステージの最終日、おそらく日ハムファンにとって忘れられない日でありましょう。 日本ハムは1回表に3点先取していながら、3回裏カブレラに満塁弾を打たれて逆転されてしまいます。4回裏にはさらに1点を失い、このまま西武が逃げ切ると思われた9回表、西武ドームに魔物が降りて参ります。木元が2ランを放ち、まさかの同点。西武ドームに言いようのないどよめきと歓声が起こりました。これだけでも充分劇的ですし、今キーボードを打っているわたくしも思い出しただけで鳥肌が立ってまいります。 ところが9回裏、魔物はそのまま日ハムに取り憑き、日ハム最後の投手・横山が和田一にサヨナラアーチを決められて試合終了。この瞬間、2004年の日ハムの闘いはすべて終了したのです。 そしてヒルマン監督がわたくしの目を釘付けになさいました。彼は伊東監督に近づいて握手を求め「おめでとう、今日は本当に素晴らしい試合だった。ぜひともこのままダイエーに勝って日本シリーズに進出し、日本一になってほしい」と言ったように映ったのでございます(飽くまで想像ですが)。その目は真摯でまっすぐで、上っ面だけでなく心から相手の健闘を称える目でした。 ヒルマン監督が公式に残したコメントを、北海道日本ハムファイターズオフィシャルホームページから引用いたします。 「負けたことは悔しいが、ここまで戦ってくれた選手たちを誇りに思う。次のステップにも進めるし、このチームはこれで終わりじゃない。明日からまた新しいシーズンが始まる。(L和田にサヨナラ本塁打を浴びた)横山は自信を持って送り出した投手だし、後悔はしていない。そして(9回表L豊田から同点2ランを放った)木元もあの場面で本当によく打ってくれた。今日のこの試合だけで1年間の総括はしたくはないが、やはりダイエー、西武との差は、たった1球の攻防にあったと思う。(江尻から逆転の満塁弾を放った)Lカブレラにも用心はしていたのだが、1インチの差で打たれてしまったね。一年間応援してくれたファンには、本当に有難う、とお礼を言いたい」 お礼を申し上げたいのはこちらの方です、と思わずMacの前で頭を下げてしまいました。 ヒルマン監督はまた、昨年9月18・19日にストライキが敢行された際、フロントとしては珍しく札幌駅でサイン会を開き、ファンサービスを実行したことも記憶に新しゅうございます。 思いますにこういった彼の行動は「紳士教育」の賜物ではないでしょうか。我が国には「大和魂」と言いますか「侍魂」と言いますか、そのようなものがかつては根づいておりました。それに相応するものとして西洋には「紳士(淑女)」がございます。ヒルマン監督にはそれがしっかりと身についているという印象を持つのであります。 そこでふたたび公式サイトで彼について調べてみました。 トレイ・ヒルマン(Thomas Brad (Trey) Hillman) 1963年1月4日 42歳 アメリカ・テキサス州出身 1985年 クリーブランド・インディアンズのマイナー選手として3年間の現役生活を送る 1990年 スカウト、コーチの経歴を経てオネオンタ・ヤンキース(1A)で監督。52勝26敗で1位。 1991年〜2001年 1Aを中心に6球団で監督。99年にはコロンバス・クリッパーズを率いて83勝58敗で1位。 2002年 テキサス・レンジャーズ育成部ディレクター兼フィールドコーディネーター 2003年〜 日本ハムファイターズ監督 1990年 1Aフロリダ・ステートリーグ最優秀監督、ベースボール・アメリカ誌1A最優秀監督賞受賞 1999年 ベースボール・アメリカ誌最有望監督賞受賞 驚いたことに33歳から監督業をなさっているので今年で監督歴9年の大ベテラン。しかもなおかつ伊東監督より1歳下ですから12球団最年少です。アメリカのマイナーでは珍しいことではないのかもしれませんが。彼は選手としてより、指導者としての才能があったということでしょう。おそらく選手、フロントからの信頼も絶大だったと予想いたします。 昨年は家族の問題もあって日ハム監督続投に難色を示していたようですが、蓋を開けるとプレーオフまで進出する快進撃・・とまでは言えないかもしれませんけど・・。監督魂に火がついたのでしょうか、今年は早々と続投が決まりましたね。 SHINJOが、今年はヒルマン監督を外人監督初の日本一にしてあげたいと言っていました。その気持ち、伊東監督と健闘を称え合ったあの姿を見てしまったわたくしには痛いほどよく分かります。 阪神ファンでありながら日ハムに興味を持った方、今すぐこちらのブログへどうぞ。 にわか日ハムファンのブログ by ルパート・ジョーンズさん |