プロ野球　男道！

昨夜の対戦相手は讀賣ジャイアンツ。交流戦がなければ、ペナントレースの真剣勝負で対戦する機会のない相手、しかも日本球界でもっとも伝統のある、かつての常勝チームです。幾多の名選手を生み出し、常に球界をリードしてきた人気球団……。一方、人気面でも強さの面でもB級扱いされてきたパシフィック・リーグの弱小チーム・千葉ロッテマリーンズ。もし、今季の絶好調がなければ、巨人戦という以外ほとんど注目を集めることのなかったカードでありましょう。
しかし、開幕以来快進撃を続け、強豪ソフトバンクをも上回る成績で見事首位の座を手に入れたロッテは、おそらく万人の期待と予想を裏切って巨人を差し置いて主役の座までも奪おうとしております。

まさしくマジック、まさしくミラクル。

その裏にあるのは、ボビー、あなた様の揺るぎない「ボビー野球」に対する自信と、選手に対する信頼でしょう。
昨年は自分の野球が選手に理解されていない、とこぼしておられましたし、小宮山選手も自分たちがボビーにおんぶに抱っこであったことを認めています。
しかし今季はどうしたことでしょうか。

1番ショートを西岡選手と小坂選手に積極的に争わせ（併用することもありますが）、捕手も里崎選手と橋本選手の二本立て、大砲系の外人選手もその地位が揺るぎないわけではないことを示す……。さらに素晴らしいのは堀選手を中心とするベテラン選手の使い方です。今江選手等の若手選手の台頭に、ベテランの粘り強さで対抗させる。これらは選手たちのモチベーションを維持するのにたいへんよい効果を生ぜしめているように思われます。
途中出場する選手層の厚さも今季の特徴でございましょうか。サブロー選手、諸積選手、そして序盤活躍を見せた代田選手。昨夜の初芝選手なぞ、存在感で完全に巨人の選手たちを食っていたのは事実です。

投手陣も素晴らしゅうございます。清水直投手、渡辺投手の両エースを二本柱に、セラフィニ投手、小林宏投手を新たな軸として、小野投手、久保投手で脇を固める先発陣。その後を受ける中継ぎ陣も藤田投手、薮田投手の二枚の壁を中心に粒揃いです。そして最後に立ちはだかる“決壊気味の”「幕張の防波堤」コバマサこと小林雅投手（己の手で「見せ場」を作ってしまうところはご愛嬌）。盤石なことこの上ない布陣でございます。

ロッテと巨人と言えば、近鉄バファローズと讀賣ジャイアンツが激突した1989年の日本シリーズ。3連勝で王手をかけた第3戦、近鉄の先発投手加藤哲郎が「巨人はロッテより弱い」と発言したとされる伝説が思い起こされます。真相はどうあれ（ご本人はアナウンサーの誘導尋問にかかったと仰っておられるようです）、当時ペナントレース最下位に終わったロッテより弱いとそしられた巨人ナインが奮起して、怒濤の4連勝であっさり日本一に輝いた顛末は一部で今なお語りぐさとなっております。

ちなみにわたくしは、第7戦に再び先発登板した加藤哲投手から本塁打を打った駒田選手が、ダイアモンドを回りながら「ばーか」と呟いたとか、呟かなかったとかと指摘され、「覚えていない」とごまかしていた様子に「ああ、言ったな、こいつ」と思ったことの方が印象に残っております。

閑話休題

その比較対象にされたロッテが今、巨人と真剣勝負をしているのでございます。否が応でもかの迷言を思い起こします。しかし、現在ロッテはかつての万年Bクラスチームとは違います。伊良部投手がかつて抱負を聞かれ「Aクラス入り」と答えた時代とは違います。
その強いマリーンズを作ったのは他ならぬあなた様でございます。冒頭に「もうよろしいじゃありませんか」としたためましたが、本心は当然その逆です。指をくわえて空を見上げるオレンジウサギの頭上を、高々と飛翔するかもめの姿をわたくしは見とう存じます。
この後の試合もどうか善戦なさってくださいまし。

We want to see you flying in the air above Marines' players' heads at the final game of this season. VIva miracle, magical Marines!

Sincerely yours.
Love Marines.