プロ野球 男道!

日本プロ野球界に生息する『おとこまえ』を発掘し、賞味するBlogです。
また、男を下げた選手を容赦なくムチ打つBlogでもあります。
清原は巨人の救世主たり得ない?
日テレついに「清原人気に疑問」視聴率2ケタ割れ ←Yahoo!ニュース(夕刊フジ)より

巨人の今季のTV中継視聴率が低落傾向にあるというニュースです。開幕第一戦目の視聴率が史上最低の12.2%、7日の横浜戦が8.8%(当日の観客動員数は横浜スタジアムで12,578人)だったそうです。

この事態を重く見た日本テレビ関係者が、「巨人の人気回復、視聴率アップには、生え抜き中心の構成にしてもらうことが望ましい」と話したと言います。
理由はこうです。

プロ野球中継を好んで見る年齢層の高齢化が進み(つまり若い世代の野球離れが進み)、50〜60歳代中心になっている。
  ↓
この年齢層は終身雇用制にどっぷり浸かってきた世代だ。
  ↓
FAで他球団から獲得した大物選手には違和感を感じているはず。
  ↓
生え抜きの選手を中心とした起用を積極的に行うことで、この層の野球中継(巨人)離れをくいとめられる。

さらに、そのためには4番には清原ではなく小久保が望ましいと主張されています。小久保も生え抜きの選手ではない上に、清原より巨人在籍年数はずっと短い彼がなぜ? とわたくしも思いました。その理由はといいますと、小久保には“王貞治の後継者”というダイエー時代からのイメージがあるから……。
王現ソフトバンク監督はたしかに巨人の一時代を築いた方でございます。わたくしの子供の頃、王貞治を知らない人がいるなど考えられないほど有名な方でした。おそらくわたくしと同世代の日本人で、野球に詳しくなくとも“756”という数字の意味を知らない人は珍しいのではないでしょうか。

ですが、王氏が巨人を去ったのが、監督として務めた最後の年の1988年終わりです。今から17年前のことです。そしてその後、解説者を経て95年から福岡ダイエーホークスの監督を努めておられ、巨人とは完全に縁が切れております。
たとえ、現役時代に強い巨人を作った選手だったとしても、「巨人ファン」がパ・リーグの監督となった「王貞治」にそこまで強い郷愁を感じているでしょうか。
……彼ら(巨人ファン)はダイエーやロッテのファンとは違うんです。Gファンは冷たいですよ。
いや、冷たいというのではなく、リアリストなのです。「××命」なんて個人にこだわるのは薬にもしたくない、勝利至上主義者。勝てなかった、ハイ、それまでよ。ましてや、敗因を作った選手なんか「やめてしまえ!」のひと言。これはいい悪いではなく、プロ野球で一番古い球団、そして、常に優勝を争ってきた球団のファンは、当然そういうファン気質になるのです。(『週刊ベースボール』'04年12月20日号 豊田泰光の「オレが許さん!」より)

かようなファン気質を本当にG党のみなさんがお持ちなら、なおさら王監督にジャイアンツのあるべき姿を思い浮かべるなどなさらないと思うのですが。

また、上のニュースでは高橋由、二岡らの名前を挙げて、誰が巨人の救世主としてふさわしいかという値踏みが行われておりますが、若い女性の支持を得るには、といういかにも安易な方向性を持った話に終始しており、根本的な解決の糸口すらつかめていない様子でございます。

「巨人ファンは、いい試合なんて求めていない。20−0でも30−0でも勝てばいい」と豊田氏の話を裏付けるような話もニュース内にはあります。いささかファンをバカにした言い草ではございますが。

わたくしはアンチ巨人ではありますが、巨人がある意味プロ野球界に君臨することに、異議はございません。ですがそれはV9だとかV10だとかいった君臨の仕方ではなく、「さすがは巨人、だれも考えなかったようなドラスティックな改革案だ」とか「巨人のイメージ戦略は老舗だけに一日の長がある」と、ファンや他球団に尊敬されるようなあり方を望んでいるのです。それでこそ「アンチ」の名乗りがいもあろうというものです。(いつの間にか「アンチ」が「正当」になっているではありませんか)
今のままでは他球団は、巨人の稼ぎ出す放送権料のおこぼれにあずかるためだけに、巨人に追随しているような有様でございます。金で牛耳っているわけですから、その金が尽きたら球界に新しい秩序体系が作り出され、その中で孤立するのみです。

巨人は人気(=視聴率)凋落が問題だとしていますが、問題は球団側(この場合日本テレビ)の考える「ファンの望む巨人像」とファンの実感との乖離にあるということでしょう。ファンが生え抜きにこだわるというのはあくまで推測にすぎません。
かつて秋山氏が西武からダイエーに移籍したときダイエーファンは、地元九州出身者ということもありましたが、昨日までの敵を暖かく迎えました。また、広島から阪神に移籍した金本は、阪神ファンの間で「アニキ」という愛称で呼ばれ、多大な支持を得ております。

巨人ファンが件のようなファン気質を持っているのだとすれば、なおさらこの傾向が強く出るものと思われます。トレードであろうが、FAであろうが、巨人を優勝に導いてくれるのなら誰でもいい、と。清原の人気が今一つだというのなら、それは生え抜きではないからではなく、単に彼に巨人を優勝に導くだけの力がないからなのです。人気のある4番打者をしつらえれば、人気が回復すると考えるのは本末転倒と言えるでしょう。本当は強ければ、4番打者など誰でもいいのです。

ですが、この高い人気を保つためには、極端な話、毎年圧倒的な強さで優勝し続けなければならなくなります。(渡辺恒雄氏が執拗に優勝にこだわり、優勝するためならどんな罵声を浴びせられてもなんとかしようとした理由がこれです。)そうすると、他球団のファンから総スカンを食らい、野球人気の地盤沈下を招きかねません。西武黄金時代に、西武が優勝するたびにファンが減ると言われましたが、まさに同じ現象でございます。このジレンマを乗り越える知恵を、今の巨人は持っておりません。現状認識すら誤っているように見えます。

巨人の試合中継視聴率の低落は、日本人のTV離れと野球離れというダブルパンチを食らったことに一因があるのは、素人目にも一目瞭然でございます。
しかしながら、CS放送やケーブルTVの普及により、TVで野球観戦する人の数はそれほど減っていないようにも思います。地上波で放送している番組は面白くない、だったらいっそCSで野球でも見ようかという層や、あるいは今まで地上波ではなかなか放送してもらえなかった球団の試合をCSで見るようになったパ・リーグファン等。

野球人気を回復するには、本当にどうしたらよいのでしょうか。人気の低迷が続くと、また昨年のような騒ぎの二の舞になりかねません。ファンのためにも早急になんとかしていただきたいものです。
| 鳴尾浜小町 | 讀賣ジャイアンツ | 15:35 | comments(4) | trackbacks(0) |

コメント
すごく重要なひとつに、(視聴率に)
最後までやらないことがあると思う。
世界中のスポーツの中継の中で、結果がわからないで、
終わってしまう中継なんてありえません。、
スポーツ中継は。最後にドラマがあるから。

マラソンで40キロで中継が終わったらどうします?
| jobo | 2005/04/16 9:45 PM |
joboさま、コメントをありがとうございます。
わたくしは、試合中継を最後まで放送するかどうかは、視聴率低下とは強い因果関係にはないと考えております。
最後まで放送しない=最初から見ない、は成立しないのではないでしょうか。ここで問題視されているのは、最初から見ない層の増加だと思うのです。
TV局の運営が基本的にスポンサー契約に依拠しているという構造上、いつ終わるとも分からない試合を最後まで中継するにはやはり無理があるでしょう。
最後まで放送しないと分かっていても、試合の途中経過は気になるからチャンネルを合わせてみる、という方も多くいらっしゃると存じます。見方を変えれば、それは視聴者側の弱みと言えるでしょう。
ですから、CSのスポーツ専門チャンネルに多くの視聴者が流れていったという事情も、地上波放送の視聴率低下の原因となっているとも思います。

野球やバレーボールは制限時間制ではございませんので、番組放送可能時間枠内にどうにかして収める必要がございます。バレーボールはあらかじめ録画した試合を途中カットして放送するのが普通です。3セットで終わる場合と5セットまでもつれ込む場合、2セット分のギャップが生じます。つまり、時間の見積もりが難しいのです。カットされたセットにどんなに感動的なプレーがあったとしても、です。野球の場合は生中継ということですので、頭とおしりを削ることになります。

また最後まで放送しないのは今に始まったことではございません。ですが、視聴率が下がり始めたのはここ数年のことです。CSに流れていった層があることを鑑みても、スポンサー契約を取り付けなければならないTV局にとっては由々しき事態です。打開策が必要なわけです。
ですが、その打開策へ向けての考え方がずれている、というのがわたくしの主張でございます。

TVは野球ファンだけが視聴しているわけではございませんので、そのあたりもジレンマになっていると存じます。
| 鳴尾浜小町 | 2005/04/17 1:24 PM |
敵ながら今年のGは強いぞ、と思ったことが近年、2回ありました。一つはついに松井が4番に据わったとき。もうひとつは原監督が若手を登用してスピードを全面に打ち出したときです。面白さのくみとり方は人それぞれ千差万別ですが、しかし、アスリートがどたどた走っている映像よりはシャープでスピード感あふれるプレーが人を引きつけるはずです。

球場の中で凄いプレーが進行しているのに、それを伝えられない、それを受け取ることができない、それでは悲しいのですが、球場の外にいる人々がユニフォームを着た選手にまで負の影響力を及ぼしていることもあり、ことGの問題に関してはそのことが大きいように思えます。

いまだに「球界の盟主」を云々する人々もいますが、根拠のない気位の高さほど惨めなものはない。T・G戦は両者が最下位争いしかしていなくたって「伝統の一戦」です。伝統があるんだから仕方がない。野球の楽しみ方は伝統や勝ち負けだけではないから、Gに必要なことは「球界の盟主」という呪縛からの解放ではないかと思います。

野球界がピラミッド型の組織を編成できたら、選手の育成にも一貫性が生まれますし、競技人口を増やすこともできます。特定の個人の所有が絶対的な善だと言っているうちはダメなんで、公共財だという発想が是非とも必要ですが、この点に関しては変なイデオロギーと誤解する人もいて、口惜しいけれど非常に困難ですね…。
| BSミツルH | 2005/04/18 5:47 PM |
BSミツルHさま、こんにちは。
今は「球界の盟主」という言葉が一人歩きしている感がございます。呪縛かどうか、巨人自身が重荷に感じているのであれば、名称は返上すべきでしょう。そも、盟主を自認するのなら、必要なのは求心力であり、言うことを聞かない球団があるのなら新しいリーグを作るまでだ、などと言うべきではないと考えます。過去のお話ではございますが…。

ピラミッド型のヒエラルキの構築は、自然と裾野を拡大しますから競技人口も増え、その中から上のランクに引き上げるシステムもうまく機能しやすいと、わたくしも思います。
公共財という考えをイデオロギーという言葉と結びつけるのは、そのようなレッテル貼りを行う側にある種のイデオロギーが隠されているのですけどね。仰りたいことはよく分かります(笑)。
| 鳴尾浜小町 | 2005/04/19 5:28 PM |
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