2005.04.13 Wednesday
清原は巨人の救世主たり得ない? |
日テレついに「清原人気に疑問」視聴率2ケタ割れ ←Yahoo!ニュース(夕刊フジ)より
巨人の今季のTV中継視聴率が低落傾向にあるというニュースです。開幕第一戦目の視聴率が史上最低の12.2%、7日の横浜戦が8.8%(当日の観客動員数は横浜スタジアムで12,578人)だったそうです。 この事態を重く見た日本テレビ関係者が、「巨人の人気回復、視聴率アップには、生え抜き中心の構成にしてもらうことが望ましい」と話したと言います。 理由はこうです。
プロ野球中継を好んで見る年齢層の高齢化が進み(つまり若い世代の野球離れが進み)、50〜60歳代中心になっている。
↓ この年齢層は終身雇用制にどっぷり浸かってきた世代だ。 ↓ FAで他球団から獲得した大物選手には違和感を感じているはず。 ↓ 生え抜きの選手を中心とした起用を積極的に行うことで、この層の野球中継(巨人)離れをくいとめられる。 さらに、そのためには4番には清原ではなく小久保が望ましいと主張されています。小久保も生え抜きの選手ではない上に、清原より巨人在籍年数はずっと短い彼がなぜ? とわたくしも思いました。その理由はといいますと、小久保には“王貞治の後継者”というダイエー時代からのイメージがあるから……。 王現ソフトバンク監督はたしかに巨人の一時代を築いた方でございます。わたくしの子供の頃、王貞治を知らない人がいるなど考えられないほど有名な方でした。おそらくわたくしと同世代の日本人で、野球に詳しくなくとも“756”という数字の意味を知らない人は珍しいのではないでしょうか。 ですが、王氏が巨人を去ったのが、監督として務めた最後の年の1988年終わりです。今から17年前のことです。そしてその後、解説者を経て95年から福岡ダイエーホークスの監督を努めておられ、巨人とは完全に縁が切れております。 たとえ、現役時代に強い巨人を作った選手だったとしても、「巨人ファン」がパ・リーグの監督となった「王貞治」にそこまで強い郷愁を感じているでしょうか。 ……彼ら(巨人ファン)はダイエーやロッテのファンとは違うんです。Gファンは冷たいですよ。 かようなファン気質を本当にG党のみなさんがお持ちなら、なおさら王監督にジャイアンツのあるべき姿を思い浮かべるなどなさらないと思うのですが。 また、上のニュースでは高橋由、二岡らの名前を挙げて、誰が巨人の救世主としてふさわしいかという値踏みが行われておりますが、若い女性の支持を得るには、といういかにも安易な方向性を持った話に終始しており、根本的な解決の糸口すらつかめていない様子でございます。 「巨人ファンは、いい試合なんて求めていない。20−0でも30−0でも勝てばいい」と豊田氏の話を裏付けるような話もニュース内にはあります。いささかファンをバカにした言い草ではございますが。 わたくしはアンチ巨人ではありますが、巨人がある意味プロ野球界に君臨することに、異議はございません。ですがそれはV9だとかV10だとかいった君臨の仕方ではなく、「さすがは巨人、だれも考えなかったようなドラスティックな改革案だ」とか「巨人のイメージ戦略は老舗だけに一日の長がある」と、ファンや他球団に尊敬されるようなあり方を望んでいるのです。それでこそ「アンチ」の名乗りがいもあろうというものです。(いつの間にか「アンチ」が「正当」になっているではありませんか) 今のままでは他球団は、巨人の稼ぎ出す放送権料のおこぼれにあずかるためだけに、巨人に追随しているような有様でございます。金で牛耳っているわけですから、その金が尽きたら球界に新しい秩序体系が作り出され、その中で孤立するのみです。 巨人は人気(=視聴率)凋落が問題だとしていますが、問題は球団側(この場合日本テレビ)の考える「ファンの望む巨人像」とファンの実感との乖離にあるということでしょう。ファンが生え抜きにこだわるというのはあくまで推測にすぎません。 かつて秋山氏が西武からダイエーに移籍したときダイエーファンは、地元九州出身者ということもありましたが、昨日までの敵を暖かく迎えました。また、広島から阪神に移籍した金本は、阪神ファンの間で「アニキ」という愛称で呼ばれ、多大な支持を得ております。 巨人ファンが件のようなファン気質を持っているのだとすれば、なおさらこの傾向が強く出るものと思われます。トレードであろうが、FAであろうが、巨人を優勝に導いてくれるのなら誰でもいい、と。清原の人気が今一つだというのなら、それは生え抜きではないからではなく、単に彼に巨人を優勝に導くだけの力がないからなのです。人気のある4番打者をしつらえれば、人気が回復すると考えるのは本末転倒と言えるでしょう。本当は強ければ、4番打者など誰でもいいのです。 ですが、この高い人気を保つためには、極端な話、毎年圧倒的な強さで優勝し続けなければならなくなります。(渡辺恒雄氏が執拗に優勝にこだわり、優勝するためならどんな罵声を浴びせられてもなんとかしようとした理由がこれです。)そうすると、他球団のファンから総スカンを食らい、野球人気の地盤沈下を招きかねません。西武黄金時代に、西武が優勝するたびにファンが減ると言われましたが、まさに同じ現象でございます。このジレンマを乗り越える知恵を、今の巨人は持っておりません。現状認識すら誤っているように見えます。 巨人の試合中継視聴率の低落は、日本人のTV離れと野球離れというダブルパンチを食らったことに一因があるのは、素人目にも一目瞭然でございます。 しかしながら、CS放送やケーブルTVの普及により、TVで野球観戦する人の数はそれほど減っていないようにも思います。地上波で放送している番組は面白くない、だったらいっそCSで野球でも見ようかという層や、あるいは今まで地上波ではなかなか放送してもらえなかった球団の試合をCSで見るようになったパ・リーグファン等。 野球人気を回復するには、本当にどうしたらよいのでしょうか。人気の低迷が続くと、また昨年のような騒ぎの二の舞になりかねません。ファンのためにも早急になんとかしていただきたいものです。 |