2005.03.30 Wednesday
有言実行の男 赤星憲広 |
野球のユニフォームを着ると男性は男前が3割増しになる。わたくしは以前からそう公言しておりましたが、これはなにもわたくしだけに限ったことではなく、以前TVでもこのようにおっしゃる女性がおりましたし、自身も野球をやっている友人なぞ「5割増しや!」と胸を張っていました。
ここにユニフォームを脱いでも男前も「おとこまえ」も下がらない選手がおりました。 赤星憲広【阪神】です。
このたび彼が何をやらかした(失礼!)かと申しますと、自らが理事となって少年野球チームを結成されたのでございます。
詳細は「レッドスターベースボールクラブ」ホームページをご覧ください。 まず設立趣旨ですが、現存する少年野球チームの置かれた環境の不備を憂えたことと、自らがそれを支える環境も含めた「野球」に育ててもらった、野球をすることで成長できたことに対する恩返しがしたいという熱意によるものだそうです。 中でも
とある通り、野球そのものの上達はもちろんのことそれ以外の、少年たちが野球を通して得ることの出来るさまざまな体験を重視していることは、言葉の上っ面のみならず彼が心から熱望していることなのだと伝わってきます。 また、 僕が今こうしてプロ野球の世界で好きな野球を続けられるのも、ただひたすら夢に向かって僕よりうまい人、体の大きい人に絶対負けたくないという強い気持ちを持ってがんばってきた積み重ねだと思っているし、またそれを支えてくれた両親や仲間、地域の方々がいてくれたからだと思っています。 というより生の声に近い彼のメッセージは、今の自分とそれを支えてくれた人たちとがダイレクトにつながっていることを実感として持っている一人の人間の姿を浮き彫りにしてくれます。 わたくしたちは得てして自分がたったひとりで成り立っているように考えがちですが、実際には決してそうではなく、支えてくれる人の数は生まれてから累計的に増えていくものです。と同時に必ず自分も誰かの支えになっているはずなのですが、もっと積極的に誰かを支えようとする姿は美しゅうございます。しかもそれが自己愛や自己満足のためではなく、純粋に恩返しがしたいという気持ちからであればなおのことであります。 そしてなにより、口だけではなく実際に行動に移すその誠実さには頭が下がる思いでございます。 かつて正力松太郎氏は「巨人軍は紳士たれ」と言ってこれが「巨人軍憲章」として掲げられていましたが(今でも、ですか? あ、さようですか)、この言葉は現在では一部間違ってしまっております。それは「巨人軍は〜」ではなく「プロ野球選手は〜」とあるべき点で、でございます。 当時職業野球チームといっても讀賣しかございませんでしたので「巨人軍」でもよかったのでしょうが、12球団を有する現在、他の球団はさにあらずというのおかしな話です。筒井和のときにも書きましたが、プロ野球選手になった時点でそれ相応の責任を背負うものでございます。 (余談になりますが、渡辺恒雄元巨人軍オーナーが中村紀洋や清原に対して苦言を呈するのも分からぬでもございません。あのようなチンピラまがいの格好が許される世界ではございません。スポーツマンシップというものはそもそもジェントルマンの持つ最上級の性質であり、正々堂々と勝負し卑怯な真似はしない人格と言ってよいでしょう。それは当然身なりにも現れます。ただ悔やまれるのはそれを渡辺氏自身が身をもって示してくださればよかったことです。あれでは誰も渡辺氏をジェントルマンだとは思わないでしょう。) よく「プロ野球選手は子供に夢を与える」と申しますが、これは言い換えると「子供に強い影響力を持つ」ということです。ですからプロ野球選手として一番してはいけないのは「悪い影響を与える」ことでございます。さらに積極的に社会に貢献していこうとする姿を見せるのは、一流選手の証しであるのです。 そう、赤星選手のように。 |