2005年3月26日、パ・リーグの開幕戦が一斉に行われました。一番注目を浴びたのが千葉マリンスタジアムのロッテv.s.楽天の試合でしょう。先発はロッテ:清水直、楽天:岩隈でした。結果はご存知のとおり、楽天が1-3で初勝利をあげました。ここまではさもありなん、と思い見ていたのでございます。(亭主と一緒にTV観戦でしたので、裏で行われていた阪神のオープン戦試合を見ながら、でしたが)新球団とはいえ、ベテランのしかもロッテとの対戦経験を持つ選手も多い楽天です。岩隈が登板してみっともない試合にはならないだろうと、予想いたしておりました。
予想は的中いたしました。
ですがそれは決して『さもありなん』な結果ではなかったことが、翌日判明いたします。
翌27日、同じく千葉マリンスタジアムで開幕2戦目が行われました。楽天の先発は元近鉄の藤崎です。開幕2戦目の先発投手にふさわしいかどうかはおいておいて、前日岩隈に押さえ込まれたのが嘘のようにロッテ打線が爆発しました。
結果26-0。ロッテの先発投手は当ブログでも賞賛した渡辺俊です。ちなみにロッテは今シーズン背番号「26」をファンの為の欠番とすることをこの20日に発表したばかりでした。俊は「背番号26に恥じない試合」と言っていましたが、それは点数のことだったのでしょうか? はじけんばかりのいい笑顔でした。
前日とは先発オーダーに少し変更がありましたが、それだけで打線が火を噴いたとはとても思えません。この試合が本来の姿だとすると、前日の岩隈はまさに鬼神であったのです。
この時点ではまだどちらの試合が「奇跡」であったのか分かりませんが、少なくとも岩隈は楽天に命を吹き込んだと言えるのではないでしょうか。
わたくしは近鉄ファンですので、岩隈のことを頼もしいエースだと思って見ておりました。2年連続15勝を挙げるなど、彼が先発登板した試合は負ける気がいたしませんでした。昨シーズンは開幕から12連勝を記録(球団記録)いたしました(皮肉なことに連勝をストップさせたのがロッテでした)。
そのうち「岩隈=勝ち」との公式が成立し、いつの間にか岩隈で勝つことが当たり前のように思い始めていたのです。
ところが、連続して行われた同一カードの試合でこれほどまで極端な勝ち負けがこれまでにあったのか、と愕然とする事態が起こってしまいました。勝った試合は岩隈、負けた試合は田尾監督曰く「2軍並みの投手陣」。2軍並みとはいえ、開幕2戦目をまかされた投手なのです。いかに岩隈が凄まじかったのかを物語っております。
投手の勝ち負けは運に左右される性質のものです。たとえ投手が1点に抑えたとしても、味方打線が全く打てなければどんなに素晴らしいピッチングをしたところで「負け」がついてしまうのです。にもかかわらず、毎年二桁勝利をおさめ、勝ち星を重ねていく投手には実力の他に不思議な力が備わっているような気がいたします。もちろんそのオーラは岩隈をも包み込んでおります。
東京の子なのに(?)近鉄バファローズをこよなく愛してくれて、ことあるごとに「近鉄大好き」と言っていた岩隈。最愛の球団が消滅してしまい、オリックスナインに組み込まれそうになったとき、彼の中の近鉄魂が咆哮したのでございましょう。あのときの彼の踏ん張りを我がままだと斬り捨てる意見もございますが、わたくしたちファンにとって彼の最後の意地は大きな支えになったのです。
新球団か引退か…。そこまで自分を追い込んだ岩隈を「わがまま」だとは言いたくございません。ましてや阪神に来てほしいなどと言えたものではございません…でした。
近鉄魂は岩隈の中にある! オリックスのユニフォームを着る彼を見たくない。わたくしはそのように思ったのです。ですがこれは、決してチームとしてのオリックスが嫌いなわけではございませんし、オリックスに残った選手が近鉄魂を忘れたと言いたいのでもございません。オリックスに残った選手には彼らなりの覚悟と自覚があったと理解しております。
←岩隈久志オフィシャルサイト
ちなみに彼のDIARYはしっかりした言葉で書かれていて礼儀正しく、たいへん読みやすうございます。どこかの某人気球団のエースのサイトとは雲泥の差……かもしれません。
追記:わたくしの知り合いに岩隈のそっくりさんがおります。周囲の評判は「岩隈より男前」ですが、さて、それはどうでしょうか?